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「遊び半分 さんさん幼児園/さんさんくらぶの子育て・まち起こし」
薗田碩哉著
東京の多摩ニュータウンで営まれていたフリースクールの幼稚園版「さんさん幼児園」。
30年間にわたり、地域に残された里山を遊び場に「自然の中でのびのび育てる」保育を実施してきた。
子どもたちの意欲と個性を土台に、子ども同士の縦の関係を重視して、自立的な子ども集団づくりを目指した。さらに、父母や卒園生によるネットワークをつくり、地域の文化・スポーツ・レクリエーション・ボランティア活動にも取り組んできた。
さんさん幼児園の閉園後は、その蓄積を生かしてNPOさんさんくらぶを結成、「遊びのまちづくり」の実践を進めている。
本書は、さんさん活動40年の歩みを振り返りながら、子どもの遊ぶ権利の保障がこの国の将来にとっていかに重要なのか、熱く、深く問いかけている。
薗田碩哉(そのだ せきや)
1943年横浜市生まれ。東京大学文学部卒。(財)日本レクリエーション協会を経て、実践女子短大教授。2012年退官。一貫して余暇と遊びの研究と実践に従事。地域では自然型幼児園の経営を30年続けた後、里山保全や音楽活動を進めるNPOを創設して活動している。体育科学博士。著書は「遊びの構造論」「遊びの文化論」「日本社会とレクリエーション運動」「余暇学への招待」「余暇という希望」など多数。
目 次
序章「さんさん幼児園」が残したもの
1 子どもたちの置かれた状況
2 多様な体験が子どもたちの身体と心を育てる
3 自然とのふれあいが持つ意味
4 ケンカやトラブルも重要な教材
5 NPOさんさんくらぶへ
Ⅰ部 太陽の子どもたち?さんさん幼稚園の30年
はじめに
第1章 子どもらしい子どもはどこにいる
1 子どもは「ワルさ」しながら育つ!
2 子どもの「原体験」を保障する
第2章 さんさん幼児園の日常
1 野原と雑木林の中で
2 さんさん保育の考え方
第3章 さんさん幼児園の履歴書
1 団地の幼児教室から始まる
2 保育メニューの発展~自然との深い関わり
3 父母の関わりと子育てネットワーク
4 「制度」との闘い
第4章 さんさん風青少年教育論
1 遊び体験が弱くなった子どもたち
2 子どもたちに自由な遊びを
3 鍵は父親の子育て参加
第5章 子どもを育て、地域を育てる
1 地域社会の現実
2 子育てネットワークを広げる
NPO法人さんさんくらぶの設立の趣旨
第Ⅱ部 遊びのまちづくり さんさんくらぶの20年
第1章 自然の中で育てる
1 さんさん幼児園の活動
2 自然体験と「からだを使いこなす」こと
3 自然体験と心の発達
4 自然の中での人間関係
5 自然体験を継承するための仕組みづくり
6 都市周辺の自然環境の活用
遊びと学びの里山自然学校
第2章 田んぼワンダーランド
1 なぜ田んぼ活動か?自然と人間の豊かなかかわりのなかで
2 稲作の持つ意味
3 農業の工業化と死の田んぼ
4 谷戸田と生物多様性
5 お米は変身して酒となる
6 田んぼファミリーの幸福
さんさん田んぼ活動日記
第3章 生涯音楽のススメ―コミュニティの交流文化活性化への道
1 「一生もの」の音楽
2 日本人の音楽生活は骨折している
3 生涯学習と生涯音楽
4 生涯音楽論の地平
おわりに コミュニティの魂としての音楽
音楽の輪を家庭からコミュニティへ
創作オペレッタ 里山物語(一幕四場)シナリオ
第4章 遊び半分
遊び半分の人生
遊びは文化よりも古い
カイヨワの4つの遊び
遊びをせんとや
カエルとウサギの大相撲―「鳥獣戯画」考
太郎くん(花子ちゃん)、遊びましょ
この指とまれ
悪い遊びと良い遊び
「遊ばんかな」の掛け軸